医mportブログ

雑記っき

純学習とゲノム情報との関係を人工神経回路から見るという論文を読んだ

こんにちは、コロナ騒動による自粛ムードで暇なのでなんかおもしろい論文でもないかなと探していたところ、nature communicationsで2019年に投稿されたこんな論文があったので読んでまとめて感想書いてみます。流し読みなので細かいところはスルーです


www.nature.com



ANN(artificial neural network)という名前が示すように、動物、特に人間の知能に近い神経回路システムを構築するという試みでありますが、実際の動物は学習と生来持っている遺伝情報に大きく依存しており、ここの世代間のゲノム情報に刷り込む獲得機能はどのようなメカニズムなのかということをテーマにしてます。

ANNと人間が生来持っている情報の違いがわかりやすいのがこの論文中のFigureで、2,4,6,8,と数字を並べていって次にくる数字は?と尋ねられたら10と答えるのが人間ですが、ヘタに重回帰分析をしてしまうとデータ数が少ないのもありますが線形と捉えなくなります。こういうので、生得的な補完機能があるのではないかということを示唆しています。
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学習は動物の経験によるもので、情報に重み付けしてヘブ則に従って情報受容後選択的に学習してます。


しかしすべての事象をゲノムに刻めるわけでもなく情報のボトルネックが生じてしまう上、特に人間のゲノムサイズは魚類の40分の1となっており、生誕後学習に寄与する部分が生物平均から見ても大きいと見受けられます。

実際人間の赤ん坊は生誕後すぐに独り立ちできないが、鹿の赤ん坊なんかはすぐ立ち上がって歩けるところからも納得できますね。



学習するにもさらに制約条件(それが生きる上で有利か)がありこれはメタ学習とか機械学習で言われるところの帰納バイアスが似たようなもので、これによってスムーズな学習が実現できるようです。しかもそれがゲノム情報に寄与するところが大きく、学習過程が教師なし学習に見えて実はみえないところで教師あり学習ではないかとささやかれています。


そのような制約があれど、やはり人間は他の動物に比べて学習の自由度が高くて、おそらく哺乳類で生後一番弱いのは人間なんですけど(立つこともままならないので)裏を返せば自ら学習すべきメモリ容量がだいぶ残されてるということであり、指数関数的に、そして漸近がかなりあとで来るのは後々有利ということなのでしょう。



という以上の知見からも、ただ単にデータ量を増やす、ただ単に素子とノード、層の羅列で人間の脳が再現できるかというと全くそうではなく、ゲノム情報も含めて再現していく必要がありそうだとわかります(それはそう)。しかし情報を根回しするのにも神経回路が必要なので、ゲノム情報から形成されてる神経回路と生誕後の純学習で形成される神経回路でまた毛色が違うのでは?と思ってるのでそのへん詳しいのがないかサーベイしてみたいです。